コラム

AIAG VDA FMEA Handbook

AIAG VDA FMEA Handbookは2019年6月に初版が発行され、以前から多くの組織各位で適用されてきたAIAG FMEA 第4版に代わってIATF 16949規格で適用されるFMEAの基準・標準となっています。本FMEAでは製品設計、製造工程の各FMEAに加えて、MSR(Monitoring System Response:監視およびシステム応答の補足)というモードが新たに追加されました。このFMEA-MSRの対象は、自動車などの電子制御システムであり、実施のタイミングはDFMEAの実施後になり、市場における顧客の運用条件下を想定して実施します。また、従来用いられてきた評価指針のRPNに代わり、APという評価方法が適用されています。

それぞれの詳細についてはこのハンドブックをご覧になって頂ければと思いますが、弊社主催のオンサイトセミナーにおいてAIAG VDA FMEAの解説や演習を行った時に感じることは、基本となる要素(例えば、PFMEAであれば、その上位文書である製造工程フロー図、レイアウト・・・etc)が組織の最新版として維持管理されていないことが散見されます。組織各位の製造工程ではあまり大きな変更が行われることが無い、又は少ないために、製造工程のフロー図を適宜見直す作業が行われていないのでしょう(事例としては、サイト内物流などに関する記載が無い)。現行のPFMEAからの移行の際には是非製造工程フロー図の再確認をされることを推奨致します。また、最近は一部のOEMのCSRにおいて、RFMEA(APQPのフェーズ4の段階で実施)も要求されています。

なお、設計・開発及び製品実現プロセスは勿論のこと、段取り設定検証、手直し、修理、問題解決、ポカヨケ、継続的改善…etcのような要求事項を具現化する場面(プロセス)においても、FMEAなどの必要性を認識しておく必要があります。また、組織が製品設計開発を行わない場合でも、サプライヤーは製品設計を行なっているケースがあり、このような場合には組織の第二者監査要員はDFMEAに関する知識・力量が必要になるかもしれません。

弊社が開催するPFMEAオンサイト・セミナー(2日間コース)では、組織が有する現行のFMEAを基礎FMEAとし、それをAIAG VDA FMEAに移行する演習を行うことで参加者各位が力量を獲得出来るよう構成し、ご提供させて頂いております。これは、DFMEAなどにおいても同様です。また、FMEAプロセスの成果として問われるCOQ及びCOPQについてもご案内しております。

注記:弊社が主催するオンサイト・セミナーにおいて基本的には参加者人数を制限しておりませんが、FMEA及び、又はIATF16949内部監査員研修などにつきましては最大で24名様前後の人数での開催を推奨しております。これれらの詳細につきましては、お気軽にお問合せを頂ければと存じます。