第三節 管理監督者の責任
(管理監督者の関与)
第十条 管理監督者は、品質管理監督システムの確立及び実施並びにその実効性の維持に責任をもって関与していることを、次に掲げる業務を行うことによって実証しなければならない。
一 品質方針を定めること。
二 品質目標が定められているようにすること。
三 第十八条第一項に規定する照査を実施すること。
四 資源が利用できる体制を確保すること。
五 法令の規定等及び製造販売業者その他製品を受領する者(以下「製品受領者」という。)の要求事項(以下「製品受領者要求事項」という。)に適合することの重要性を製造所において周知すること。
【0330001】
10.第10条(管理監督者の関与)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.1 Management commitment」の一部に相当するものであること。
(2)「管理監督者」としては、業務を行う役員等特定の個人のほか、この省令に規定する管理監督者としての責任及び権限が付与された特定の組織とすることも可能であること。この場合において、当該特定組織のうち特定の個人を、当該組織の管理監督者としての責任を負う責任者として明確にしておくこと。
(3)第1号の「責任をもって関与していること」とは、ISO13485:2003 の「commitment」に相当するものであること。
(4)第5号の「製品受領者」とは、ISO13485:2003 の「customer」に相当するものであり、当該製品に係る製造販売業者等を指すものであること。
(製品受領者の重視)
第十一条 管理監督者は、製品受領者要求事項が明確にされ、かつ、製品が当該要求事項に適合しているようにしなければならない。
【0330001】
11.第11条(製品受領者の重視)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.2 Customer 」の一部に相当するものであること。
(2)「製品要求事項が明確にされ」とは、第27条(製品要求事項の明確化)の規定に基づき製品要求事項が明確にされていることをいうものであること。
(3)第55条(製品受領者からの意見)の規定を適切に実施し、製品受領者要求事項への適合を確保するようにすること。
(品質方針)
第十二条 管理監督者は、品質方針が次に掲げる条件に適合しているようにしなければならない。
一 製品の品質に係る製造業者等の意図に照らし適切なものであること。
二 要求事項への適合及び品質管理監督システムの実効性の維持に責任をもって関与することを規定していること。
三 品質目標を定め、照査するにあたっての枠組みとなるものであること。
四 製造所において周知され、理解されていること。
五 妥当性を維持するために照査されていること。
【0330001】
12.第12条(品質方針)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.3 Quality policy 」に相当するものであること。
(2)品質方針は、第6条(品質管理監督システムの文書化)第1項第1号の規定に基づき作成される品質方針表明書に明記されるものであること。
(3)第5号の「妥当性を維持するために照査されていること」とは、第18条(管理監督者照査)に規定する管理監督者照査において改善の余地、変更の必要性の評価を定期的かつ適切に行うことにより確保されるものであること。
(品質目標)
第十三条 管理監督者は、製造所の関係部門において、品質目標(製品要求事項への適合のために必要な目標を含む。)が定められているようにしなければならない。
2 管理監督者は、品質目標を、その達成状況を評価しうるものであって、かつ、品質方針との整合性のとれたものとしなければならない。
【0330001】
13.第13条(品質目標)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1) この条は、ISO13485:2003 の「5.4.1 Quality objectives 」に相当するものであること。
(2) 管理監督者は、製造所の関係部門において品質目標を定められていることについて、自らが直接関与する必要は必ずしもないが、責任は負うものであること。
(3) ここでいう品質目標とは、品質管理監督システムに係る品質目標のほか、製品要求事項への適合のために必要な目標も含んでいるが、後者については、第26条第1項の規定に基づき製品実現計画を策定するに当たり適切に明確化されることが求められていること。
(4)「関係部門において」とは、組織内の適切な部門において、かつ適切なレベルないし組織単位において品質目標の設定を求めているものであること。
(品質管理監督システムの計画の策定)
第十四条 管理監督者は、品質管理監督システムが第五条の規定及び品質目標に適合するよう、その実施にあたっての計画が策定されているようにしなければならない。
2 管理監督者は、品質管理監督システムの変更を計画し、実施する場合においては、品質管理監督システムが不備のないものであることを維持しなければならない。
【0330001】
14.第14条(品質管理監督システムの計画の策定)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.4.2 Quality management system planning」に相当するものであること。
(2)品質管理監督システム計画は、常に実施されているものであり、例えば管理監督者照査や是正措置・予防措置の結果、品質管理監督システムに関し変更があった場合においても、当該品質管理監督システムを不備のないものであることを維持するものであること。
(3)品質管理監督システムの計画の策定に当たっては、品質方針、品質目標、管理監督者照査の結果や是正措置・予防措置として必要な変更事項等が工程入力情報として考えられ、工程出力情報としては品質管理監督文書の作成・改訂等が含まれうるものであること。
(4)製品実現に関しての計画は、第26条の規定に基づき策定されるものであること。
(責任及び権限)
第十五条 管理監督者は、製造所において、業務に従事する部門及び職員の責任及び権限が定められ、文書化され、周知されているようにしなければならない。
2 管理監督者は、品質に影響を及ぼす業務に従事する職員、管理監督する職員及び検証する職員のすべてについて、相互の関係を定め、当該職務を行うために必要な独立性を確保するとともに、必要な責任及び権限が与えられているようにしなければならない。
【0330001】
15.第15条(責任及び権限)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.5.1 Responsibility and authority」に相当するものであること。
(2)この条に基づき、管理監督者自身についても特定すること。
(3)「業務に従事する部門及び職員の責任及び権限が定められ、文書化され、周知され」とは、例えば組織フロー図、職務分掌表等の策定、関係者に周知を行い、実際に運用することにより達成できるものであること。
(4)「必要な独立性」の例としては、品質に影響を及ぼす業務について採算性といった営業的見地からの影響を極力排除すること、内部監査員に内部監査対象の業務からの独立性を求めること(第56条第5項参照)等が該当するものであること。
(責任技術者)
第十六条 管理監督者は、法第十七条第五項に規定する責任技術者及び法第六十八条の二第一項に規定する生物由来製品(法第二条第九項に規定する生物由来製品をいう。以下同じ。)の製造を管理する者(外国製造業者にあっては、法第十三条の三第一項の規定により認定を受けた製造所の責任者又は当該外国製造業者があらかじめ指定した者)(以下単に「責任技術者」と総称する。)に、次に掲げる業務に係る責任及び権限を与えなければならない。
一 工程が確立され、実施されるとともに、その実効性が維持されているようにすること。
二 品質管理監督システムの実施状況及びその改善の必要性について管理監督者に報告すること。
三 製造所全体において、法令の規定等及び製品受領者要求事項についての認識が向上するようにすること。
【0330001】
16.第16条(責任技術者・製造管理者)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.5.2 Management representative」の一部に相当するものであること。
(2)ISO13485:2003 においては、管理監督者が「management representative」に品質管理監督システムについての実際の監督に係る業務の実施を求めているが、この省令においては、薬事法の規定により許可又は認定を受けた製造所に置かれる責任技術者又は製造管理者及び生物由来製品の管理者、並びに外国製造業者にあっては製造所の責任者又は当該外国製造業者があらかじめ指定した者に当該業務を行うことを求めているものであること。
(3)責任技術者、製造管理者等に、この条に規定する業務に係る責任及び権限を適切に付与し、管理監督者の代理として求められる役割を遺漏なく全うできるようにしておくこと。
(内部情報伝達)
第十七条 管理監督者は、製造所において、適切に情報の伝達が行われる仕組みが確立されているようにするとともに、情報の伝達が品質管理監督システムの実効性に注意を払いつつ行われるようにしなければならない。
【0330001】
17.第17条(内部情報伝達)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.5.3 Internal communication」に相当するものであること。
(2)管理監督者は、品質管理監督システムが有効に機能するために、この条に基づいて適切に情報の伝達が行われる仕組みの確立を確保すること。
(3)第2章において、適切な情報伝達を求めている条項には次のものが含まれること。
ア. 製品受領者要求事項等への適合の重要性の周知(第10条第5号)
イ. 品質方針の周知(第12条第4号)
ウ. 部門及び職員の責任及び権限の周知(第15条第1項)
エ. 変更後の製品要求事項の周知(第28条第5 項)
オ. 設計開発に関与する各者間の連絡(第30条第4項)
(管理監督者照査)
第十八条 管理監督者は、当該製造所の品質管理監督システムについて、その妥当性及び実効性の維持を確認するための照査(品質管理監督システム、品質方針及び品質目標の改善の余地及び変更の必要性の評価を含む。以下「管理監督者照査」という。)を第十四条第一項の計画に定めた間隔で行わなければならない。
2 製造業者等は、管理監督者照査の結果の記録を作成し、これを保管しなければならない。
【0330001】
18.第18条(管理監督者照査)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1) この条は、ISO13485:2003 の「5.6.1 Management review − General」に相当するものであること。
(2) 管理監督者照査は定期的に行われることが必要であること。特段の問題がなければ年に1回程度の頻度で差し支えないが、変更が予定されているとき、変更がなされたとき等、適時適切な照査を行うことにより、品質管理監督システムの実効性の維持、改善に努めること。
(3) 管理監督者照査は、その対象範囲、参加者等について適時適切なものとなるよう慎重に計画された上で実施すること。
(4) 管理監督者照査の結果は、第19条及び第20条への適合性の重要な証拠となりうるので、適正に作成し、保管すること。
(管理監督者照査に係る工程入力情報)
第十九条 製造業者等は、次に掲げる工程入力情報によって管理監督者照査を行わなければならない。
一 内部監査の結果等
二 製品受領者からの意見
三 工程の実施状況及び製品の製品要求事項への適合性
四 是正措置(不適合(この省令に規定する要求事項等に適合しないことをいう。以下同じ。)の再発を防止するために不適合の原因を除去する措置をいう。以下同じ。)及び予防措置(起こり得る不適合の発生を防止するために、その原因を除去する措置をいう。以下同じ。)の状況
五 従前の管理監督者照査の結果を受けて採った措置
六 品質管理監督者システムに影響を及ぼすおそれのある変更
七 部門、職員等からの改善のための提案
八 前回の管理監督者照査の後において、新たに制定され、又は改正された薬事に関する法令の規定
【0330001】
19.第19条(管理監督者照査に係る工程入力情報)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.6.2 Review input」に相当するものであること。
(2)第1号の「内部監査の結果等」には、いわゆる外部監査の結果についても含まれるものであること。
(3)第2号の「製品受領者からの意見」には、製品受領者からの苦情についても含まれるものであること。
(4)第61条(データの分析)第1項のデータの分析により得られた情報についても、管理監督者照査に入力すべき情報として適宜活用すること。
(管理監督者照査に係る工程出力情報)
第二十条 製造業者等は、管理監督者照査から次に掲げる事項に係る情報を得て、所要の措置を採らなければならない。
一 品質管理監督システム及び工程の実効性の維持に必要な改善
二 製品受領者要求事項に関連した製品の改善
三 品質管理監督システムの妥当性及び実効性の維持を確保するために必要な資源
【0330001】
20.第20条(管理監督者照査に係る工程出力情報)関係(第80条において準用する場合を含む。)
(1)この条は、ISO13485:2003 の「5.6.3 Review output」に相当するものであること。
(2)管理監督者照査の結果、是正措置や予防措置等、所用の措置を採ることとしたときは、第18条第2項に規定する管理監督者照査の記録を作成するに際して、その内容、措置の実施に当たっての責任、必要な資源、措置の完了期限等を明確にすること。