
【Blue Lagoon resortの中庭】
ミクロネシアには時々出掛けるが、その中で最も多いのがChuuk-state、すなわちチューク州という所。以前はTrukとも呼ばれ、戦時中は日本帝国海軍の基地があった場所であの戦艦大和もここに停泊していたことがある。以前はコンチネンタルホテルと呼ばれていたが、地元の住民でもあり、 Blue Lagoon Dive ShopのオーナーでもあるMr.Gradvin K.Aisek氏が買い取り、新たにBlue Lagoon resortと名称を変更した。私は先代のMr.Kimiuo Aisek氏(故人)とも親交があったことから、ここに今でも時々現地を訪れている。
大戦中に多くの日本の艦船が攻撃されて沈み、今でもその姿を海底に留めていることから、海中公園にも指定されている。また、島々を取り囲む環礁は世界最大。従って、ラグーンの内側の海は穏やかな時が多い。ボートで約1時間、北へ向かって走るとそこに駆逐艦 追風(おいて)が沈んでいる。すぐそこは環礁の外側になってしまう場所とあって、透明度は非常に高い。

【水深40mから撮影した追風の姿】
ボートからエントリーし、海中を覗くと、もうそこにはブルー1色の世界が広がる。どうかすると上下間隔が無くなってしまうような錯覚に陥る。潜っていくと、やがてうっすらと船影らしき姿が見えてくるが、ダイビングコンピュータの水深計は40mを指していて、海底に到達するにはまだまだのようだ。
ダイビングコンピュータは通常、体内に溶け込む窒素を水深深度と時間で計測し、その計算値から減圧時間を算出する。メーカーによってもその計算方法が異なり、まるでSPC(Statistical Process Control)や MSA(Measurement Systems Analysis)の世界を想像してしまう。

【駆逐艦 追風のブリッジ付近:in Bridge Destroyer Oite】
水深は約71m、深いと感じるがそれどころでは無い。この船のブリッジの中に入ってみた。そこには床に溶接されたか又は何らかの方法で固定されたShip -bellが今でも残っている。船の周囲をぐるっと廻ってみると、船首部分が無いのに気がつく。沈没する時にでも折れたのだろうか、200mくらい離れた所にその部分がある。ダイビングコンピュータの警告音だけが静かな海底に響き渡る。船の周囲をまるで見守るかのように旋回していたおよそ5mくらいのタイガーシャークも何処かへ行ってしまった。そろそろ上がらなければならない時間だ。

【減圧中のMr.Greg氏】
深い海底から水面を目指して徐々にスロースピードで上昇を開始する。自分が吐き出すエアの泡を追い越してのスピードでの上昇は絶対に行ってはならない。水深20mからは減圧を開始する。減圧とは、体内(主として血液中)に溶け込んだ窒素を体外に放出するために、一定の水深で留まることを意味するが、これを怠ると、ちょうど冷やしていないビール瓶の栓を抜いたように、窒素が血管の中で気体になり、血管を塞いでしまう。それがどのような結果をもたらすかは御想像の通りだ。レジャーダイバーが使っているような一般のダイビングコンピュータではエラーを起してしまう水深まで潜っているので、減圧は2種類のダイビングコンピュータと、それに加えて米国海軍が使用する減圧表に基づいて実施する。
自分のタンクに残っているエア及びボートから吊り下げてある減圧専用のEAN(enriched air nitrox)40等の混合ガスを吸引し減圧を行うのであるが、その時間が長くて結構暇なので、この時も減圧しながら写真をパチリ!。最終的な減圧水深は 3m、そこでの待機時間が一番長く感じる。
上の写真にあるMr.Greg氏はここ(http://www.technicaldivetraining.com/gregory_m_such.htm)にあるようなプロフィールの持ち主でTDT(http://www.technicaldivetraining.com/)でプロとして活躍している。彼は私と同様にTDI等のインストラクターでもあるが、彼の場合は職業として専念している所が違う。彼も私もそうだが、一般的に水深が50mを超える所へ潜る場合には、タンクを2本連結して使用する。これは通称”Wタンク”とも言うが、これが結構重たくて肩が凝る。中にはこれに更に2本の予備タンクを両サイドにフックで引っかけて持っていくダイバーも居るが、そこまでの元気は私には無い。

【Restaurant TAKARAJIMAにて:一緒に潜ったTDI U.S.Aのメンバー各位】
今回は沈船に潜るダイビングスタイル(Wreck-Dive)の一部を紹介したが、一般のダイバーの方々は水深30m前後に留めておいて欲しい。水深が50mを超える大深度潜水は大変危険であるために、完全な装備及び熟練したダイバーと一緒に潜ることをお勧めする。諸外国ではスキルがあって当たり前と見なされるので、無理をして潜った経験も無い水深ポイントへ興味本位で行かないこと。
ミクロネシアのチュークへはグアムから、コンチネンタルミクロネシア航空で行くことになります。現地へ渡航される方々は十分な余裕のある日程を確保しておいて下さい。